単行本では『この本が、世界に存在することに』というタイトルでしたが、文庫化する際に『さがしもの』というタイトルに変更になったようです。『この本が、世界に存在することに』という名前の方が良かったという方が多いですね。このタイトルも話の中に出てくるし、何故変えたのでしょう?それにしても、本好きにはたまらない本ばかりの短編集です。
「旅する本」
学生時代にお金に困って古本屋に売った本。「本当に売っていいの?」と言われ、その時は価値があるのか分からなかった。数年後、卒業旅行で行ったネパールで、自分の売った本を見つけた。最後の空白のページに自分で書いた絵があったのだ。
「だれか」
タイの小さな島でマラリアにかかって寝込んでいた。そのバンガローで見つけた文庫本。その本を読みながら、見知らぬ男の人の時間を読み取ることができた。
「手紙」
恋人と喧嘩をし、一人で泊まった温泉旅館。部屋の中で見つけた詩集。そしてその詩集に挟まっていた女の人の手紙。
「彼と私の本棚」
同棲していた恋人と別れることになった。本棚には自分の本と相手の本が混ざって入っていた。同じ本なのに、それぞれで1冊ずつ買ったこともあった。本棚を見て、今までの恋人との思い出が溢れてきた。
「不幸の種」
大学に入ったばかりの頃、恋人を家に招いた。その恋人が自分の部屋で読んでいたそ本。きみの本棚から拝借したと言われたが、その本を持っていた覚えがない。その後は不幸続き。台湾の占い師にその本が原因だと言われる。
「引出しの奥」
いろいろな男の子を家に連れ込んでは寝ていた。食事をおごってくれたり、家まで送ってくれたりすると断れないのだ。伝説の古本の話を聞いてから、古本屋で探している。そのときに古本屋で語学のクラスが同じ同級生に出会う。
「ミツザワ書店」
文芸雑誌の新人賞を受賞した。いつから小説を書いたのか等聞かれると、ミツザワ書店のことを思い出した。売り物の本をひたすら読んでいるおばあちゃんのことを。そして、実家に帰った時に10年ぶりにミツザワ書店を訪れることにした。
「さがしもの」
中学2年の頃、おばあちゃんが入院した。そして、母親にも誰にも内緒である本を探しほてしいと言われる。いろいろな書店に行き、必死に探すもなかなか見つからない。おばあちゃんは「もしあんたが見つけ出すより、わたしが先に死んだら化けて出てやるからね」と言う。
「初バレンタイン」
はじめてできた恋人に贈るバレンタイン。チョコレートでは芸がないと、自分が読んで感銘を受けた本を送ることにした。そして数年後、結婚相手である人の本棚には、自分がバレンタインに贈った本があった。彼も誕生日にもらったのだという。
「旅する本」「引出しの奥」「ミツザワ書店」が特に好きです。古本ってたくさんの人が手にとって、人の手を渡り旅していくというのが醍醐味だと思います。古本屋行って、何か特徴のある本を探してみたくなってしまいました。
⇒ ガトリング白銀 (01/11)
⇒ サキューン (01/01)
⇒ こういち (12/27)
⇒ まろまゆ (12/23)
⇒ モグモグ (12/16)
⇒ ばきゅら (12/07)
⇒ ちんたまん (12/03)
⇒ 機関棒 (11/24)
⇒ れもんサワー (11/20)
⇒ ゴリゴリくん (11/13)