角田さんって、たくさん作品を出すので、私の読書ペースだと追いつけないのでなかなか読めないでいるのですが、この作品はタイトルに惹かれてしまい、読んでみようと思いました。「三面記事」という言葉から連想される通り、ある事件を元にした物語です。
「愛の巣」
いつもはしつこいくらいに電話をして愚痴を言う姉から連絡がなくなった。夫の浮気を心配していた姉だが、その解消はしたのか。連絡が取れなくなったので、直接訪問したら、そこは塀にトタンが高く積み足され、その上には有刺鉄線が張ってあった。
これを発見するのに26年もかかるとは驚きでした。連絡を取れなくなった姉を訪ねるまでにどれだけ時間がかかっているんだろうと思いました。
「ゆうべの花火」
相手が結婚していることも知らずに付き合ったが、だんだん不倫相手が妻に子供ができたことをきっかけに自分のことを相手にしてくれなくなる。お金を請求してくる不倫相手にお金を払うと自分の要求が通るので、お金で要望を買うことになった。
一方、チャットで知り合った女性と遠距離恋愛をするようになった男。女性から自分ばかり遠方に来て会いにいくのもお金がかかると次第に会うことを拒否し始めたので、友人から大金が稼げるバイトを紹介してもらう。この2人の繋がりとは。
お金を払えば希望が叶うと思ってしまうと怖いですね。でも不倫相手の男の人もかなりひどいですけど。今の時代、お金を払えば人を殺すことができるのかと思うと、本当に恐ろしいと思います。こういう事件これからも増えていくかもしれないですね。
「彼方の城」
息子はリビングにマットレスを置いてそこに居つく。娘は自分の化粧や恋愛に忙しく、家の手伝いは一切しない。そんな子供たちに嫌気がさしている38歳の主婦。漫画喫茶でバイトをする高校生の男の子と出会い、デートに誘う。
この母親もどうしようもないと思いました。子供がそう育ったのも自分のせいのはずだけど、それを全部子供が悪いというように押し付けている気がします。それで若い男に走ってしまうなんて・・・。
「永遠の花園」
友達が夏休みに大好きな先生に会いに東京に行ってから、変わってしまった。ずっと仲良くしていたいと思い、その友達とあることを企てる。
友人を失いたくないからと軽い気持ちで起こしてしまった事件。これも曲がった愛情だなと思いました。
「赤い筆箱」
妹が自分が受かった中学に落ちてから憎しみを抱くようになった。両親も妹の方にばかり気を取られ、自分の話を聞いてくれない。そんなときに事件は起こった。
こういう話はよくありますよね。兄弟でどちらかだけ両親からの愛情を受けており、どちらかがむなしい思いをする。性格の問題かもしれないですけどね。
「光の川」
母親が認知症になった。母親とは絶縁状態の姉の力も借りられず、独身の息子は一人で介護をすることになった。やがて症状がひどくなり仕事もできなくなり、生活保護申請も却下され、お金に困るようになった。
これはずっと問題になっていくのではないでしょうか。介護疲れのためという事件をよく耳にします。この生活保護もお金を受け取るのにかなり厳しく、しかも一人で介護となるとやり切れなくなるでしょうね。
ほとんどが怖いと思う話ばかりでした。実際に載ってた三面記事から角田さんが物語として話を膨らませたのですが、ここまでよく話が作れるなと思いました。今まで読んだ角田さんの作品とはだいぶ変わっていますが、なかなか読み応えはありました。
⇒ ガトリング白銀 (01/11)
⇒ サキューン (01/01)
⇒ こういち (12/27)
⇒ まろまゆ (12/23)
⇒ モグモグ (12/16)
⇒ ばきゅら (12/07)
⇒ ちんたまん (12/03)
⇒ 機関棒 (11/24)
⇒ れもんサワー (11/20)
⇒ ゴリゴリくん (11/13)